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 福井県今立郡服間村(現在の越前市横住)に生まれた国際政治学者の故・若泉敬氏は、晩年を鯖江市つつじヶ丘町で過ごし、平成8年(1996年)7月27日、66歳の生涯を閉じられました。

 

 氏は東京大学卒業後、自ら創立に貢献した京都産業大学の法学部教授に就任し、 複雑な国際情勢、日本の安全保障問題に冷徹な視線を注ぐ新進気鋭の論客として学界に新風を送り込みました。さらに佐藤栄作政権では、沖縄返還をめぐる秘密交渉で総理の密使としてニクソン政権との交渉役を務め、昭和47年(1972年)の返還実現に貢献しました。その名声に鯖江の自宅には内外から多くの碩学が集い、有意義な意見交換が重ねられたと伝えられています。また、平成6年(1994年)には『他策ナカリシヲ 信ゼムト欲ス』を上梓し、歴史の歯車を回した当事者として返還交渉の経緯を詳述、日本の戦後史の裏側を語り残すという大業を成し遂げられました。

 

 しかし今、亡くなって20年余の刻が過ぎ、鯖江市のみならず、福井県内にも氏の業績を知る人は減ってきています。そこで県内の有志で、WEBサイトと講演会、シンポジウムなどを通じて、その功績を広く伝える「若泉敬顕彰会」 を起ち上げることにしました。氏についての人々の記憶、氏についての著述や研究といった断片も、それがまとまれば一つの資料庫となり、その業績を後世に伝える役割を果たすと確信しています。顕彰会がいつの日か、氏が生涯を捧げた日米関係を改めて考えるためのプラットホームに育つよう、これから精力的に活動を続けていく決意です。